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New!】木質バイオマスの利活用を地域づくりの一助とするために

木質バイオマスエネルギーを利用したモデル地域づくり推進事業シンポジウム 「木質バイオマスを地域づくりに活かすためには」

で、そのポイントをコメントしてきました。以下は、その概要です。シンポジウムの内容は、シンポジウムの案内を御覧ください。pdfファイルにしたものは、案内のHPもしくはこちらからご覧になれます。

私は、森林資源の育成や山村振興に関わってきたことから、この2つの視点からお話します。木質バイオマス(木)のエネルギー利用は、1970年代までは、薪や炭として全国で普通に利用されていましたし、農山村ではどこでも炭焼きが行われていました。その後、エネルギー源は石炭や石油等の化石燃料に置き換わり、これらの殆どは海外から輸入されることになりました。2000年代に入ってからは地球温暖化、近年には原発事故による放射能汚染等、環境問題がクローズアップされるとともに、太陽光、水、風、バイオマスという再生可能エネルギーの利用が盛んになってきました。日本には、豊富な森林資源があるため、この有効利用の一つとして、木質資源のエネルギー化が図られてきました。
しかしながら現在の社会状況から考えると、バイオマスは発電はエネルギー効率やコスト面から不利な状況で、現実的には、小規模分散型で、熱源として地域利用する方が効果的であると考えられています。実際、2015年ころから、薪・チップ・ペレットを燃料とする小規模な温水ボイラーの導入が盛んになり、新たな事業体や企業が設立され、新規参入が相次いでいます。しかしながら、資源・人材を始め住民の意識など、地域の実情を知らぬまま、もしくは無視してコトを進めることが多々あり、地域住民との軋轢や早期撤退が相次いでいます。
地域の活性化に繋げるためには、何をポイントにするべきでしょうか。慫慂と思われる3つのポイントを示してみます。

1.地域というスケール(規模)をきちんと定義する。
2.地域での、生産・加工・利用までの需給規模をきちんと見積もる。
3.地域社会の発展に寄与するかをきちんと考える。
ことで、そのためには、地域資源の把握、地域の人たちとの合意形成・協働、地域の自立が重要となります。

 

1.地域のスケール(規模)をきちんと定義する。

a. 生産場所(森林)から利用場所(施設・集落)までを含む地域
この場合、地域内には、エネルギーの供給者から利用者まですべてが存在します。そのため、地域内でエネルギーのみならず、雇用や経済が循環系となります。これは、地域の理解が得やすい形となります。
b. 生産と利用場所とが離れている地域
生産側地域(いわゆる川上)と利用側地域(川下)に別れる場合が多いですが、両者の実情を互いに知り、良好な関係性構築する(両者を含めた合意形成)ことが重要となります。特に川上(農山村地域)にとって、どれだけのメリットがあるのかが重要で、単に原料を供給するだけでは、受益は少なく、経済はじめ社会活動の地域間格差が解消されないままとなります。

以上より、a.の場合は、生産者が利用者でも有る規模、つまり一集落から小さな市町村が一地域となります。一方、b.の場合は、生産もしくは利用者は他者に直接的に関わることがない、複数の市町村や大流域が一地域となります。地域づくりを考えるなら、地域の単位を a.として考えることが重要だと思います。

2.地域での、生産・加工・利用までの需給規模をきちんと見積もる。
ここでは、利用・加工についてのコメントは割愛します。シンポジウムの他の方の発表資料を参考にして下さい。

a. 利用
施設の数、規模の見積もりから需要量を算出します。
b. 加工
利用形態と供給体制とのマッチングを図る事が重要です。薪・チップ・ペレット等の燃料のタイプ・質の需要供給バランスから、何が幾らで作れるかを算出します。
c. 生産
バイオマス(原料)の供給量は、収穫可能量(伐採のための組織・インフラに依存) で見積もる事が重要です。つまり、資源の潜在量(現存量)が十分すぎるほどあっても、それを伐り出す組織(人、事業体、森林組合など)やインフラ(路網、機械など)が備わっていなければ、生産量は増えません。
また、燃料資源は林地残材や未利用間伐材で、あくまでも木材を伐採するという林業活動に付随して出てくるものでス。従って、その量には限界があり、しかも、コストは輸送費(距離に比例する燃油代)によって決まることを理解しておきます。

以上より、地域内循環を目指すのであれば、現状の収穫可能量で見積もるべきです。期待値で見積もってしまい、供給出来なかった場合(撤退や規模縮小)が多いの事実です。特に、生産サイドには、多くの住民(所有者)、既存組合・事業体が存在するので、関係者との合意形成には時間がかかり、加工や利用施設を作るのとは違い、規模拡大が早急には出来ないことを承知の上で進めていくことが肝要です。

3.地域社会の発展に寄与するかをきちんと考える

a. 経済性の確保
地域社会への直接的な貢献は、やはりお金です。 仕事が増えた、収入が増えたなど、雇用の増加や金回りが良くなったなど、目に見える効果は、地域住民にとっても理解が得られやすい効果です。できるだけ、この効果を地域に落とすことが出来るかが経済の活性に重要です。
b. 地域社会の充足
特に農山村では地域に対する住民の愛着心は高いといえます。地域資源で地域が成り立っている(地産地消)、資源を供給して地域が潤う(地産外商)という事実や、脱温暖化に貢献している、循環型の生活をしているという自負は、地域住民のやる気・誇りを引き起こします。
c. 自律と自立
生産から利用までのシステムを地域で回して行くことが重要です。そのためにも、技術やコスト的にハードルの低い薪ボイラーなどを導入し、自らの手で運用して行くことが重要です。地域の人が考え、動かし(自律)、経済的に自立してこそ、木質エネルギーが地域づくりに役立つのです。もちろん、地以外の人達が、技術の向上や人材の育成等に関わることも重要です。その時に、以下に地域に寄り添って協働できるかです。

以上より、地域づくりとは、地域の人達が自発的に自立を目指していく事だといえます。地域の持つ人材や技術でできるシステム作りとその運用が第一歩。それによって、住民が直接的な(金や雇用での)受益者となってくると、地域の誇りややる気が伴ってくる。地域外からアプローチする人や組織は、これを念頭に、地域内の団体等といかに良好な関係を持って協働できるかがポイントとなります。

 

下の図は、集落〜町村を一単位とする地域づくりとエネルギー利活用の概念図です。地域(図の赤枠内)でエネルギーの生産から利用までが出来れば、エネルギーに対する対外支払いが削減されます。そして、働く場所が増えるので、雇用の拡大と定住者の増加に繋がります。その賃金などのお金は、地域内の経済を活発化させます。また、得られた利益を持森林の整備に投資し、持続的な森林資源の生産を可能にしていきます。これらが、資源・経済が循環する地域社会づくりの一助となっていきます。また、余剰産物を地域外へ供給することにより、人や金の地域への還流が増加し、一層の経済活性に繋がります。

地域エネルギー概念図

 

 

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